糖尿病病気の症状集

糖尿病の症状

  • ・初期症状なし
  • ・のどの渇き
  • ・だるさ、倦怠感
  • ・尿量増加
  • ・体重減少
  • ・しびれ、灼熱感
  • ・便秘、下痢、発汗異常、立ちくらみ、勃起障害
  • ・筋力低下、筋委縮
  • ・視力低下、失明

血糖値の高い人は要注意です

「血糖」は血液中のブドウ糖のことをいい、血糖が多い状態を高血糖といいます。高血糖になり、それが続くと、全身の血管が傷ついて、さまざまな「合併症」が現れます。この高血糖の代表的な病気が「糖尿病」になります。このように血糖が高くなると全身に悪影響があるのですが、血糖は適切にコントロールすることができれば、糖尿病や合併症の発症と進行を食い止めることができます。血糖値が少し高めの人も正常な人も、定期的に血糖値をチェックして、自分の血糖値を知っておくことが大切です。

血糖値を測ろう

血糖値は、次のような検査で調べることができます。

・血液検査

「空腹時血糖値、ブドウ糖負荷後2時間値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」などを調べることで、さまざまな状況での血糖の状態を知ることができます。

・尿検査

ブドウ糖が尿の中に漏れ出た「尿糖」があるのかどうかを調べます。

・血糖自己測定

家庭で血糖値を測ることができる「血糖自己測定器」という器械があります。指先などから少量の血液を採取するだけで、簡単に血糖値を測定できます。家庭で血糖値を測定すると、食べたものや運動などによって自分の血糖値が変動する様子が分かります。

インスリン療法を行っている人には、家庭での血糖値測定に健康保険が適用されますが、それ以外の人には適用されません。しかし、家庭での血糖値測定からは多くの有用な情報が得られるので、定期的に測定してみるとよいでしょう。

血糖値の判定

・正常型

空腹時血糖値が110mg/dl未満、かつブドウ糖負荷後2時間値が140mg/dl未満

・糖尿病型

空腹時血糖値が126mg/dl以上、またはブドウ糖負荷後2時間値が200mg/dl以上、または随時血糖値が200mg/dl

・境界型

正常型と糖尿病型のどちらにも当てはまらない場合を境界型といいます。いわゆる糖尿病予備軍になります。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)について

血糖値の測定を1回しただけでは糖尿病とは判断できません。なぜなら1回では常に血糖値が高いかどうかが分からないからです。そのため、今までは再検査を行い、そこでも血糖値が高い場合に糖尿病と判定していました。しかし、最近はHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定し、1回の検査でも糖尿病と判定するように診断方法が変わりました。

HbA1cは、過去の1~2か月間の血糖値の平均を反映しています。6.1%以上だと糖尿病型と判定され、血糖値の異常とHbA1cが6.1%以上の場合には1度の検査で糖尿病と判定するようになっています。今までは検査前に食事を抜いて血糖値を下げている人もいましたが、HbA1cを測ることでしっかりと糖尿病の人を見つけることができるようになっています。

糖尿病の発症要因

糖尿病の大部分を占める「2型糖尿病」の発症には、「遺伝的な体質」と「環境因子」が関係しています。血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが「すい臓」から十分に分泌されない体質に、肥満や食べ過ぎ、運動不足、加齢などの環境因子が加わると、インスリンの作用が不足して糖尿病が発症しやすくなります。

●血糖値について

糖尿病の発症前には、一般に、まず食後の血糖値が上がり(食後高血糖)、その後空腹時血糖値も上がってきます(空腹時高血糖)。食後の血糖値に当たるブドウ糖負荷後2時間値は糖尿病発症の10年前から上がり始めて、空腹時血糖値は糖尿病発症の数年前から上がり始めるといわれています。

糖尿病による合併症

血糖の多い状態(高血糖)が続くと、全身の血管がダメージを受けて、さまざまな合併症が起こってきます。合併症を防ぐためには血糖をきちんとコントロールしていく必要があります。血管がダメージを受けると、太い血管では「動脈硬化」が進んで、「脳卒中」や「心筋梗塞」が起こりやすくなります。細い血管では「神経障害」「網膜症」「腎症」が起こります。

日本では細い血管に起こる合併症が注目されがちでした。しかし、最近では生活習慣の変化などによって、糖尿病に合併した脳卒中や心筋梗塞が増えており問題になっています。

糖尿病の初期には、ほとんど自覚症状がなく、気づいたときには悪化していることも少なくありません。そのため、合併症の進み方の特徴を知っておきましょう。

太い血管に起こる合併症

高血糖は動脈硬化の進行を早めます。高血糖により血管が傷つくと、血管壁にコレステロールがたまりやすくなり、血管壁の弾力性が低下したり、内腔が狭くなります。動脈硬化は血糖値が少し高い「糖尿病予備軍」のころから始まります。

こうして動脈硬化が進むと、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上がります。これらは命にもかかわる危険な病気です。脳卒中や心筋梗塞の発症には、高血糖のほかにも「肥満や高血圧、脂質異常症、喫煙」などが関係しています。血糖コントロールに加えて、これらの要因を改善していくことも、発症リスクを減らすために大切になります。

細い血管に起こる合併症

細い血管に起こる合併症には次のようなものがあります。これらは糖尿病の「三大合併症」と呼ばれています。

●神経障害

神経障害は、一般に糖尿病発症後5年目頃から起こります。高血糖が続き、血流の障害が起こることによって、末梢神経が変性したり脱落してしまうことによって起こります。「感覚神経」が障害されるとジンジンするしびれや灼熱感などの「異常感覚」が現れ、「自律神経」が障害されると「便秘、下痢、発汗異常、立ちくらみ、勃起障害」などが、「運動神経」が障害されると「筋力低下、筋委縮」などが現れます。

●網膜症

糖尿病発症後5~7年目頃に始まります。原因は目の奥の網膜にある血管が高血糖のために傷つくためです。

網膜症は主に3つの段階に分かれています。最初の段階では「単純網膜症」といい、もろくなった血管にこぶができて、そのこぶが破れ、「点状出血」やかたい「白斑」ができます。血流障害で軟らかい白斑が増えると「増殖前網膜症」になります。さらに進行した「増殖網膜症」では、血流の悪化を補うために「新生血管」という異常な血管ができます。新生血管は非常にもろいため破れて出血しやすく、硝子体に出血が及ぶと視力が低下して、「網膜剥離」を起こすと失明の危険もあります。

●腎症

腎症の発症には個人差が大きく、糖尿病があっても約半分の人は腎症が現れず、発症時期も糖尿病発症後7~15年目ごろと幅があります。腎症の血管が高血糖で傷ついて、腎機能に異常が現れてきます。

腎症は主に4つの段階に分れています。腎症の最初の段階は「早期腎症期」です。尿にたんぱくの一種「アルブミン」がわずかに出ますが、自覚症状はありません。「顕性腎症期」になるとたんぱく尿が出て、脚などがむくみます。腎機能の低下が進み老廃物をろ過する能力が失われた状態が「腎不全期」です。さらに腎症が進行した「透析期」では、人工透析が必要になります。

早期に治療を始めれば、合併症の進行を抑えたり、前の段階に戻せるようになっています。合併症の早期発見のためにも、定期的に検査を受けることが大切です。

三大合併症を予防する

合併症を予防するには、血糖のコントロールが重要になります。合併症を発症したとしても、血糖をきちんとコントロールすれば進行を防ぐことができます。

コントロールの目安となるのは、「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」です。このHbA1cを調べると過去1~2か月間の血糖の状態が分かるため非常に重要です。5.8%未満が理想ですが、6.5%未満であれば多くの合併症を抑制できることが明らかになっています。

また、HbA1cは1%下げただけでも大きな効果があります。食事療法や運動療法などをしっかりと行い、きちんと血糖をコントロールしましょう。

糖尿病治療の基本

血糖値が少し高めの「糖尿病予備軍」や初期の糖尿病の治療は、食事療法と運動療法をしていきます。まずはこの2つの生活習慣の改善が大切で、それで十分効果がない場合は飲み薬を加え、それでも不十分ならインスリン製剤を用います。糖尿病が進行しても、食事療法と運動療法による生活習慣の改善は治療の基本になります。

生活改善と薬で、血糖と血圧、脂質を、通常の基準で管理した「従来療法グループ」と、より厳密に管理した「強化療法グループ」で、「脳卒中や心筋梗塞」の発症率を比べました。約8年間の追跡調査では、強化療法グループの発症率が従来療法グループに比べて約53%減少しました。薬物療法を行う場合でも、生活習慣がきちんと改善されていないと十分な効果が得られないのです。

自分の生活習慣を自覚して改善するためには食事や運動の記録を付ける方法が有効です。

食事療法

摂取エネルギーは適量にして腹八分を心がけましょう。多くの種類の食品をバランスよく食べることが大切です。

また、1日3食を規則正しく食べるようにします。2食分まとめて食べたり短い間隔で食事をすると、血糖値が上がりやすくなります。食事の間隔が開きすぎるときは、間食で調節するのもいいでしょう。ただし、間食も1日の総エネルギー摂取量の計算に入れて、ジュースなどの血糖値が急激に上がりやすいものは避けるようにしましょう。

食べ過ぎを防ぐには、よく噛んでゆっくりと食べることが大切です。野菜などのよく噛む必要がある食材を多くしたり、摂取エネルギー量を抑えるために油を少なくするなど、料理を工夫します。

また、お酒は控えめにし、禁煙しましょう。

●摂取エネルギー量

適正摂取エネルギー量=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)

・標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

・身体活動量

軽労作(デスクワーク中心の人や主婦など)=25~30kcal

ふつうの労作(立ち仕事メインの人)=30~35kcal

重い労作(力仕事メインの人)=35kcal以上

運動療法

運動の効果には、次のようなものがあります。

●すぐに現れる効果

血糖が筋肉に取り込まれるため、一時的に血糖値が下がります。ストレス解消や血液循環を改善する効果もあります。

●継続すると現れる効果

血糖値を下げる「インスリン」の働きがよくなり、同じ分泌量でも血糖値が効率的に下がるようになります。「高血圧」や「脂質異常症」が改善されるため、脳卒中や心筋梗塞など合併症の発症リスクが減ります。肥満が改善し、筋力や体力が増強します。

運動する際は理論的に行うのがいいでしょう。

自己管理のポイント

食事療法や運動療法を行うときには、食事や運動の記録を付けるようにします。記録することによって、生活習慣を意識的に見直すことができます。見直すときは、生活習慣をどのように変えるのか具体的な目標を設定することが、自分にできる改善法を考えるのに役立ちます。また、記録を基にして、医師からより具体的なアドバイスを受けることもできます。

糖尿病に合併して起こる脳卒中や心筋梗塞を防ぐためには、高血圧や脂質異常症にも気を付ける必要があります。血糖値やHbA1cだけでなく、「体重、血圧、ウエスト周囲径」なども定期的に測って、記録するといいでしょう。

基本治療と最新治療

糖尿病の治療では「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を6.5%未満に下げる」ことを目指して、血糖コントロールをしていきます。血糖コントロールで大切になるのは、「食事療法」と「運動療法」です。これはどの段階の糖尿病でも行う基本になるものです。これを行っても十分に血糖をコントロールできない場合には「薬物療法」を加えます。薬物療法で最初に使われるのは「のみ薬」です。薬をのんでもコントロールができない場合には、「インスリン療法」を開始します。また、最近では新しい薬が登場し、早い段階から薬物治療を始めるケースもあります。

高血糖の悪循環を防ぐ

インスリン療法で使うインスリンは、「すい臓」から出てくるホルモンで、血糖値の変動に深く関わっています。遺伝的な体質によってインスリンの分泌能力が低下する「インスリン分泌不全」と肥満などでインスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」が重なることで血糖値が上がります。

血糖値が高い状態(高血糖)が続くと、インスリン分泌不全やインスリン抵抗性が悪化し、血糖値がさらに上がるという悪循環が起こります。これを「ブドウ糖毒素」といいます。この悪循環から抜け出すためには、適切な薬物療法を行う必要があります。

のみ薬の種類

●インスリン分泌促進薬

インスリンの分泌量が不足している場合に使います。

「スルホニル尿素薬」は、すい臓を刺激してインスリンの分泌を促し、空腹時の血糖値を下げます。「速効性インスリン分泌促進薬」は、食事の直前にのむことで、インスリンの分泌のタイミングを速めて、食後に血糖値が上昇するのを抑えます。服用後10分ほどで効果が現れます。どちらの薬も効きすぎると「低血糖」を起こすことがあります。

●インスリン抵抗性改善薬

インスリンの効き目がよくない場合に使います。

「チアゾリジン薬」は、筋肉や肝臓などでのインスリンの働きをよくします。「ビグアナイド薬」は、肝臓でブドウ糖が作られるのを抑えます。副作用にはチアゾリジン薬の「むくみ」や「体重増加」、ビグアナイド薬の「下痢などの消化器症状」があります。

●食後高血糖改善薬

食後の血糖値の上昇を緩やかにする薬です。

「α‐グルコシダーゼ阻害薬」は、食事の直前にのむと、食事に含まれる糖分の吸収を遅くする働きがあり、食後の高血糖を改善します。副作用として「おなかが張る」ことがあります。

●薬をのむときの注意点

のみ薬は種類によって作用の仕方がさまざまで、のみ方も異なります。服用時間を守り、食事は適量を規則正しくとりましょう。食事量の変動が大きいと、薬によっては低血糖を起こすことや、十分な効果が得られないこともあるためです。

薬について医師からよく説明を聞き、のみ薬をのみ忘れたときの対処法なども聞いておきましょう。薬をのんで副作用が現れたときも、医師に相談するようにしましょう。

インスリン療法

のみ薬で血糖値を十分にコントロールできない場合に使います。インスリン製剤を直接皮下に注射して補うので、早く確実に血糖値が下がります。

●インスリンの種類

すい臓からのインスリン分泌には「基礎分泌」と「追加分泌」があります。

基礎分泌は、血糖値が長時間にわたって一定になるようにするための分泌です。これを補うインスリン製剤には、「持効型」と「中間型」があります。追加分泌は食事による血糖値の上昇を抑えるための分泌です。これを補うインスリン製剤には、「超速効型」と「速効型」があります。短時間で効果が現れますが、作用時間も短いのが特徴です。また、基礎分泌と追加分泌の両方を補う働きを持つ「混合型」もあります。

使うインスリン製剤の種類と量は、患者さんの食前と食後の血糖値を確認して、健康な人のインスリン分泌パターンに近づけるようなものを選びます。インスリン製剤は、決められたとおりにしっかりと使うことが大切です。

低血糖に気を付けよう

低血糖というのは、血糖値が下がりすぎた状態のことです。軽い場合は「強い空腹感、生あくび、ふらつき」などが現れ、重症になると「立っていられない、意識がもうろうとする」などの症状や「異常行動」が起き、命にも係わります。

低血糖が起きた場合は、すぐにブドウ糖、砂糖、ジュースなど糖分の入った飲料で糖分を補う必要があります。α‐グルコシダーゼ阻害薬を使っている場合は、ブドウ糖でないと速やかに血糖値を回復させることができません。また、外出時には「糖尿病手帳」を持ち歩くようにしましょう。頻繁に低血糖が起こる場合には、担当医に相談してみましょう。

新薬「インクレチン関連薬」について

インクレチンとは、小腸などから分泌される、インスリンの分泌を促す作用があるホルモンの総称です。近年、インクレチンの一種「GLP-1」を分解する酵素の働きを阻害する薬や、分解されにくい形のGLP-1を使った薬が新しく登場しました。これらの薬は、低血糖を起こしにくいというメリットもあります。

インクレチン関連薬はすい臓を保護し、インスリンを分泌する機能を回復させる働きも期待されるため、早くから用いることで、よりよい改善が期待されています。従来の治療法では、まず生活習慣を行い、効果がない場合にのみ薬を追加し、さらに効果がない場合にインスリン療法を行っていました。しかし、長い目で見ると糖尿病は徐々に進行しているかもしれません。そこで最近では、早い段階から薬物療法を積極的に取り入れて、血糖値を良い状態に保つことでインスリンを分泌するすい臓の機能を維持しようという考えも出てきています。

スポンサードリンク

アクセスカウンター

Copyright(c) 2011 病気の症状集 All Rights Reserved.