腸閉塞病気の症状集

2011年11月07日 category : 消化器 タグ: , , , , , , , ,

腸閉塞の症状

  • ・激しい腹痛
  • ・膨満感
  • ・吐き気
  • ・おう吐
  • ・発熱
  • ・脱水
  • ・頻脈
  • ・ショック症状

腸閉塞とは

腸閉塞というのは、食べたものが、何らかの原因で消化管の中を通過できなくなってしまう病気です。そうなると激しい腹痛のほか、吐き気やおう吐などが起こります。

人間の体は食べ物を食べて、便として排泄させて栄養を取っています。一般に、口から摂取した食べ物や飲み物は、「食道」を通って、「胃・小腸・大腸」などを通過する間に消化・吸収されて、残りは「肛門」から排泄されます。

この一連の流れで、何らかの原因のため、小腸や大腸の中を食べたものやガスなどの内容物が正常に通過できなくなると、腸の中に停滞して、充満することになります。これが「腸閉塞」という病気です。重症の場合は命にもかかわるため、症状が出れば病院に行くことが大切です。

高齢者と腸閉塞

腸閉塞の原因のなかで最も多いのが、「癒着」です。癒着とは、開腹手術を受けた後などに、傷を修復しようとして、腸と腸、あるいは腸とおなかの内側(腸壁)などがくっつくことです。癒着によって腸が折れ曲がったり、ねじれたり(腸捻転)して腸閉塞が起こります。

腸閉塞というのは、年齢や性別に関係なく誰にでも起こる病気です。しかし、高齢者は、若い人よりも開腹手術や腸の病気を経験していることが多いため、発症の確立も高くなっています。加齢によって腸の働きが悪くなるとさらに癒着の程度がひどくなることもあります。若いころに受けた開腹手術が原因で、高齢になってから腸閉塞を起こすこともあります。

また、腸閉塞の原因として「大腸がん」も多いです。大腸がんの発生率は加齢とともに高まるため、高齢者は特に大腸がんが原因で腸閉塞を起こすケースが多いのです。

さらに、高齢になると、腸液の分泌量が減ってしまうなど、体のさまざまな機能が衰えて腸閉塞を誘発しやすくなります。若い年代の人に比べて、痛みなどの自覚症状も現れにくいため、腸閉塞になってもなかなか気づかず、重症になってしまうこともあります。

腸閉塞の症状

腹部の膨満感・腹痛

腸の中を内容物が通過できなくなるため、おなかが膨らみます。同時に激しい腹痛が起こります。

吐き気・おう吐

腸が詰まると、食べ物などが逆流してきて、吐き気やおう吐が生じます。

腸のどの辺が詰まっているのか、吐いた物からわかることがあります。例えば、おう吐が多かったり、吐いた物が黄色のときは、小腸の上部が詰まっていると考えられます。一方、激しい腹痛が長く続いたり、吐いた物から便の臭いがする(吐糞症)場合は、腸のかなり下のほうの便を作っているところが詰まっていると考えられます。

重症のとき

腸閉塞を放っていると、水分などが吸収されなくなり、「脱水症状」が出てきます。また、血液中の水分も減るために血流が悪くなります。さらに、腸が完全に動かなくなると、腸内細菌が異常に増殖します。すると、腸内細菌が血管やリンパ管の中に入り、「感染症」を引き起こして「発熱」が出ます。

そして、脱水症状が長引いたり、腸内細菌が毒素を出し始めると、血圧が急激に下がったり脈が速くなったりして(頻脈)、やがて脈が触れなくなる「ショック状態」に陥ります。こうなると、生命に危険が及ぶことにもなります。

腸閉塞のタイプ

腸閉塞は大きく「機械的腸閉塞」と「機能的腸閉塞」の2つに分けられます。

機械的腸閉塞

腸管の内側が狭くなるなど、物理的な原因によって、腸の内容物が通過できなくなっているものを、機械的腸閉塞といいます。高齢者で特に注意が必要な、大腸がんや開腹手術後の癒着による腸閉塞はこのタイプに入ります。機械的腸閉塞は、さらに「単純性腸閉塞」と「絞扼性(複雑性)腸閉塞」に分けられます。

●単純性腸閉塞

腸管の内側が物理的な原因によって狭くなり、腸の内容物が通過できなくなっている状態が、単純性腸閉塞です。がんによって腸管の内腔が狭くなったり、あるいは癒着のために腸が折れ曲がったりすることで起こります。

●絞扼性腸閉塞

腸管に血流障害が起こっているタイプを絞扼性腸閉塞といいます。腸は、「腸間膜」にある血管から、酸素と栄養を手に入れています。腸と腸の癒着に巻き込まれて、腸間膜が締め付けられたり、ねじれたりすることで血流障害が起こります。

血流障害が起きると、腸に血液がいかなくなってしまい、酸素と栄養が届けられません。そのため、腸が壊死してしまい、腸に孔が開く「穿孔」を起こす危険性があります。

絞扼性腸閉塞は、多くの場合、癒着による単純性腸閉塞が進行した結果、起こります。癒着の程度が徐々にひどくなって、腸の締め付けとねじれが進み、次第に腸間膜までもが締め付けられるようになっていくのです。

また、「腸間膜動脈血栓症」が、絞扼性腸閉塞の原因になることもあります。これは腸間膜の中を走っている血管が、動脈硬化のために詰まる病気です。血流障害を起こし、腸が壊死して、腸に穴が開く危険性があります。

動脈硬化というのは、加齢とともに進みます。「高血圧」や「糖尿病」などの生活習慣病も、動脈硬化を進める要因です。高齢者の場合、これらの病気を複数持っていることが多いため注意が必要です。

機能的腸閉塞

腸が正常に動かなくなり、腸の内容物が通過できなくなるものを機能的腸閉塞といいます。機能的腸閉塞は「けいれん性腸閉塞」と「麻痺性腸閉塞」の2つのタイプがあります。

けいれん性腸閉塞は、「鉛中毒」などによって腸がけいれんして起こります。しかし、今の日本ではほとんど見られません。

●麻痺性腸閉塞

多くは、「胃や十二指腸の潰瘍、虫垂炎」などによる穿孔から「腹膜炎」が起こり、それが原因となって起こります。腸間膜の血流が悪くなり、腸の動きが悪くなって、麻痺している状態が引き金になります。

麻痺性腸閉塞は、高齢者だけでなく、まだ免疫機能が育っていない子どもも起こりやすいので注意しましょう。

腸閉塞の診察の流れ

腸閉塞では激しい腹痛や吐き気やおう吐などが起こります。重症になると脱水症状が現れたり、感染症を引き起こして発熱したり、場合によってはショック状態に陥り、命のかかわることもあります。そのため、きちんと診察と適切な治療を受ける必要があります。

診断①問診、視診、聴診など

腸閉塞は患者さんが開腹手術を受けたことがあれば起こりやすいので、まず問診で開腹手術の経験の有無を確かめます。人によっては10歳代で受けた開腹手術による癒着が、70歳代になって腸閉塞を起こすこともあるので、子どものころの手術もよく思い出して答えることが大切です。そのほかにも次のような項目をチェックしていきます。

視診

目で見て、患者さんのおなかがどのくらい膨らんでいるかを観察します。

打診

おなかを叩くことで、ガスがどのくらいたまっているのかを確認します。

聴診

おなかに聴診器を当てて、腸の動きを確かめます。初期の腸閉塞はゴロゴロとした音が聞こえますが、進行するとキンキンという金属音になります。もっとひどくなると、腸の音が全然聞こえなくなってきます。

触診

おなかを触って調べます。おなかを押すと痛む「圧痛」、おなかを押したあと急に放すと痛む「筋膜刺激症状」、おなかの筋肉が張る「筋性防御」などをよく見ていきます。

血液検査

炎症反応の有無、脱水や電解質異常の程度などを調べます。

診断②画像検査

エックス線検査

腸閉塞がある場合、多くはエックス線写真に「鏡面像」というものが現れます。鏡面像とは、水平面のある影のことで、腸の下側に水分、上側にガスがたまっている場合に現れます。鏡面像があると、その下のどこかに腸閉塞があることを意味しており、腸閉塞と確定診断されます。鏡面像から閉塞部位や重症度を推察することもできます。

ただし、麻痺性腸閉塞の場合は、腸にガスがたまる前に腸が動かなくなってしまうことがあるので、エックス線写真だけでは判断できないことがあります。

超音波検査

腸の内容物の動きや腸壁のむくみ、おなかに異常に水がたまる「腹水」の有無などを調べます。

造影CT検査

静脈から造影剤を注入して行われます。腸に血流障害が起きると、造影剤が入っていかないため、腸の壁が映し出されません。絞扼性腸閉塞の診断に有効な検査です。

内視鏡検査

高齢者が腸閉塞になる原因は大腸がんも多いです。そこで、肛門から内視鏡を挿入し、大腸がんがないか調べます。内視鏡検査の代わりに、バリウムを肛門から注入し、エックス線写真を撮影する「注腸エックス線検査」が行われることもあります。

腸閉塞の治療

保存療法

原則として単純性腸閉塞に対しては、手術ではなく「保存療法」をしていきます。

まず、鼻あるいは口から細い管を入れます。閉塞部位が腸の比較的上部のほうなら「胃管」を、下部のほうなら「イレウス管」を入れ、たまっている水分や内容物、ガスを取り除きます。これにより、腸の狭窄やねじれが治ることが期待できます。

これらの管を入れたうえで、まったく飲食物をとらない「絶飲絶食」をして、点滴で栄養分を補給します。同時に、血液の濃度を保ち、電解質のバランスの異常を補正するための点滴が行われます。また、感染症を防ぐために抗菌薬の点滴もしていきます。

手術療法

●単純性腸閉塞の場合

一般に保存療法を3~7日間(高齢者の場合は3~4日間)行っても症状が改善されない場合は、絞扼性腸閉塞として開腹手術が行えることがあります。単純性腸閉塞から絞扼性腸閉塞になりつつある、あるいはなった可能性があるためです。

●絞扼性腸閉塞

こちらは緊急に手術を行う必要があります。まずは癒着した部分を慎重に剥がします。腸の血流が十分に回復したことが確認できれば、腸を切り取る必要はありません。しかし、すでに腸の一部が壊死していて、放置しておくと腸に孔が開く危険性があるときは、血流が途絶えた部分の腸を切断して、正常な腸の部分とつなぎあせます。

最近では、程度の軽い絞扼性腸閉塞に対して、内視鏡の一種である「腹腔鏡」を使って、検査や手術をすることがあります。

●麻痺性腸閉塞

腹膜炎を起こしている可能性があるため、緊急手術が行われます。腹膜炎の部位を切除し、胃や腸などに穴が開いている場合には、その孔を塞ぎます。

予防も大切

腸閉塞の予防では、次のようなことも大切になってきます。

排便習慣をつける

腸を詰まらせないようにするには、規則正しい排便習慣をつけることが大切です。特に高齢者は、加齢によって腸の働きが低下するなど、便秘になりがちなので注意が必要です。

食物線維は控えめに

便通を整えるには、食物繊維が効果的です。ただし、高齢者の場合には、ゴボウやわかめなどの食物線維の多い食品は腸を詰まらせる原因にもなります。高齢者はあまりとりすぎないようにしたほうがいいでしょう。

乳酸菌をとる

ヨーグルトなどの乳酸菌を含む食品は、腸の働きを助けてくれます。積極的にとっていきましょう。

検査を毎年受ける

大腸がんは腸閉塞の原因となります。早期に発見するのが大切なので、1年に1回検査を受けましょう。検査は便のほかに血液が混じっているかどうかを調べる「便潜血反応検査」があります。

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