首の痛み病気の症状集

2011年09月30日 category : 頚肩腕 タグ: , , , , , ,

首の痛みの症状

  • ・首、腕の痛み
  • ・手足のしびれ
  • ・手足の運動麻痺、感覚麻痺、感覚鈍麻
  • ・排泄障害
  • ・歩行障害
  • ・便秘

首の仕組み

首の病気を知るには背骨の仕組み、構造について知っておく必要があります。

人間の体は、頭の骨から骨盤までを背骨(脊柱)という大黒柱で支えています。背骨とは1本の骨ではなく、24個もの骨(椎骨)が積み重なってできています。上から7個の骨が首の骨で、その下の12個の骨が胸(背中)の骨、下から5個が腰の骨として機能しています。それぞれを「頚椎・胸椎・腰椎」といいます。そして椎骨と椎骨の間には、クッションの働きをして骨同士がぶつかり傷ができるのを防いでいる「椎間板」があります。

また、脊柱には「脊柱管」というトンネル状の空間があります。脳から体中に行く神経は「脊髄」となって脊柱管の中を通っています。この脊髄からの神経が枝分かれして、椎骨と椎骨の間から出ていき、肩や腕、足などへと伸びています。この枝分かれした神経の根元を「神経根」といいます。

さて、首の骨である頚椎ですが、日常生活では常に負担がかかっています。6~8㎏ある頭を常に支えているうえに、首や頭を大きく動かすことも多いためです。長時間テレビを見たり、パソコン作業をしたりして、同じ姿勢をとり続けると、姿勢も悪くなってしまいます。こうした日常生活での動作や姿勢によって、首に痛みが起こることが少なくありません。

これらはあまり心配のいらない首の痛みなのですが、注意が必要な首の痛みもあるので説明しておきましょう。

安静にしていても痛む場合

脊柱には多くの血管が通っていて、「がんの転移」や「細菌などによる感染症」が起こることがあります。”安静時も痛む”という場合はすぐに病院を受診しましょう。

がんの転移

がんが進行して、他の部位に移動することを「転移」といいます。脊柱は肺や乳房などにできたがんが転移することが多く、首の痛みからがんが見つかることもあります。

頚椎にがんが転移しても初期にはほとんど症状がありません。しかし、徐々に骨がもろくなり、やがて頚椎に小さな骨折が起こるようになります。それによって痛みが出て、だんだんと強くなってきます。さらにがんが大きくなるにつれて神経が圧迫されて、手足のしびれも現れるようになります。

感染症

「肺炎や扁桃炎」などの病気になると、その原因となる細菌などが頚椎にも感染し、もとの病気が治ってしばらくしてから、首の痛みや発熱がでることがあります。感染症を引き起こした場合、抗菌薬による治療が行われますが、重症になると手術することもあります。

骨折

頚椎の骨折の原因は、けがなどの外傷がほとんどです。骨折が疑われる場合は首や体が動かないように固定して、直ちに治療を受ける必要があります。

骨がもろくなる「骨粗しょう症」によって頚椎を骨折することはほとんどありません。

しびれを伴う場合

首の痛みにしびれを伴う場合は、脊髄や神経が障害されている可能性があります。放っておくと後遺症を残すこともあるので、早めに受診しましょう。

手・腕がしびれる場合

頚椎から出る神経は腕、指先へと伸び、腕や指の感覚と運動を司っています。首の痛みに手のしびれを伴う場合は、加齢によって椎骨が変形する「頚椎症」や、椎間板が変性する「頚椎椎間板ヘルニア」が原因で神経根が圧迫されている可能性があります。この2つがしびれを伴う頚椎の病気の大半を占めています。

また、首から腕の痛み、手のしびれが起こる病気には「胸郭出口症候群」もあります。「胸郭出口」というのは、第1肋骨と鎖骨のすき間のことです。この胸郭出口には、腕や手に伸びる神経や血管が通っています。そのため胸郭出口が狭くなると、神経や血管が圧迫されて肩や腕に痛みやしびれが起こります。特に腕を上げたときに症状が強くなります。

手足がしびれる場合

頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアで脊髄が圧迫されると、手だけでなく、足にもしびれが起こることがあります。また脊柱を結びつけている靭帯が厚くなる「脊柱靭帯骨化症」でも、脊髄が圧迫されて手足がしびれることがあります。

その他にも脊髄に腫瘍ができる「脊髄腫瘍」があります。初期では首の痛みが出るだけですが、腫瘍が大きくなって脊髄を圧迫すると、手足のしびれや麻痺がおこります。脊髄腫瘍の多くは良性ですが、手術で切除するのが治療の基本です。

心配のいらない首の痛み

今までいろいろと怖い病気が原因の首の痛みを紹介してきましたが、ほとんどの首の痛みは心配いらないものです。首の痛みの原因に何らかの病気が関係しているのは全体の1割程度で、残りの9割は特に原因のない痛みです。これらの首の痛みを総称して「頚肩腕症候群」と呼んでいます。

痛みが起こる最も大きな原因は、長い時間同じ姿勢を続けることです。そうすると筋肉が疲労したり、緊張して血行が悪くなります。血行が悪くなってしまうと、「乳酸」などの疲労物質が筋肉にたまり、痛みを引き起こしてしまいます。

軽いものであれば首や肩を動かす運動などをすればよくなりますが、「痛みが強い」「痛みが2~3週間続く」などあれば治療していきます。痛みを和らげる「消炎鎮痛薬」や、筋肉の緊張をほぐす「筋弛緩薬」などが使われます。

日常生活でのポイント

心配いらない首の痛みは普段の姿勢が関係していることも多いので、まずは首に負担をかけない生活を送り、様子を見るのもよいでしょう。”背すじを伸ばして、あごを引く”姿勢を心がけましょう。

そのほか、ときどき運動をして体中の筋肉をリラックスさせましょう。体操などで全身を動かし、血行を良くすることも大切です。また、暑いからといってシャワーだけで済ますのではなく、湯船につかって体を温めてあげましょう。

頚椎の構造

頚椎についてもう少し詳しく書いておきましょう。頚椎は、7個の「椎骨」でできており、椎骨はのど側の「椎体」と背中側の「椎弓」からなります。椎体と椎体の間には、クッションの役割をする「椎間板」があります。そして上下の椎骨は、椎体と椎弓の間にある「椎間関節」で連なっています。

また、椎骨の中央には「脊柱管」というトンネル状の空間があり、その中を脊髄が通っています。脊髄からはたくさんの神経が枝分かれしていて、椎骨と椎骨の間から出ていきます。この出て行った神経の根元を「神経根」といいます。

頚椎を通る脊髄や神経には、「手を動かす」「手足の感覚を脳に伝える」「内臓の働きを調整する」などの役割があります。そのため、頚椎の病気によって脊髄や神経根が障害されると、首だけではなく、手や足、内臓機能(排泄)などにも影響が出てきます。

こうした症状がでる頚椎の病気には主に、「頚椎症」と「頚椎椎間板ヘルニア」があります。

頚椎症

頚椎症の原因は主に加齢によるといわれています。脊柱の老化はまず最初に椎間板から始まってきます。徐々に椎間板の水分が少なくなって弾力がなくなり、薄くなってしまいます。なぜ椎間板の老化が速いのかはわかっていませんが、若いうちから変形が始まり、50~60歳では何らかの変形ができてしまうことが多いです。

椎間板が変形すると、クッションの役割をするものがなくなるので、椎骨に直接衝撃が加わるようになります。そうなると椎骨の端が変形して、「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるとげができます。また、頚椎と頚椎の間が狭くなって、椎間関節が変形することもあります。

このような変形によって神経根や脊髄が圧迫されるとさまざまな症状が現れます。

頚椎椎間板ヘルニア

椎間板は中心に「髄核(ずいかく)」と呼ばれるゼリーのような組織があり、その外側を「線維輪」という少し硬めの組織が取り囲んでいます。

この椎間板が加齢などによって変形すると、衝撃をうまく吸収できなくなり、線維輪に亀裂が入って髄核が飛び出すことがあります。これが頚椎椎間板ヘルニアです。飛び出した髄核が神経根や脊髄を圧迫することで症状が現れます。

この頚椎椎間板ヘルニアは、30歳代後半~50歳代後半の人に多くみられます。

症状

頚椎症も頚椎椎間板ヘルニアも、まずは首の痛みが現れます。そして、骨棘や飛び出した髄核によって神経根や脊髄が圧迫されることにより、さらにいろいろな症状が出てきます。

症状は神経根が圧迫されて起こる「神経根症状」と、脊髄が圧迫されて起こる「脊髄症状」に分けられます。

神経根症状

頚椎から出る神経根は、首から腕や指先にかけての感覚と運動をつかさどっています。そのため、頚椎の神経根が障害されると、「肩から腕、指にかけて痛みやしびれがある、感覚がない」「手や腕が動かしにくい」などの症状が現れます。多くは左右どちらかに症状が出ます。

また、頚椎から出ている神経は、それぞれ支配する領域が決まっています。どこに症状が出ているかによって、どの神経根が障害を受けているのかを判断します。

第1~4頚神経根

・ あまり症状が現れない

第5頚神経根

・ 二の腕の内側の感覚の異常

・ 肘を曲げられない

・ 腕を上げられない

第6頚神経根

・ ひじから先の腕と親指・人差し指の感覚の異常

・ 手首を上に反らすことができない

第7頚神経根

・ 中指の感覚の異常

・ 肘を伸ばせない

第8頚神経根

・ 薬指と小指の感覚の異常

・ 手の指を曲げられない

脊髄症状

脊髄は脳とつながっていて、全身に張り巡らされた神経の中枢です。そのため、脊髄が圧迫されてしまうと体のいろいろなところで症状が出てしまい、神経根症状よりも重大な影響を及ぼします。主に次のような症状が出てきます。

・手や指が動かしにくい…手がしびれたり麻痺がおこるために、「はしが持ちにくい、字がうまくかけない、ボタンがかけにくい」など、手や指を使う作業が難しくなります。

・歩行障害…足にもしびれや麻痺が起こると、「つまずきやすい」など、足を動かしにくくなります。重症になると歩行できなくなってしまいます。

・排泄障害…「尿が出にくい、頻尿、残尿感、便秘」など、排泄に関する症状が起こります。

脊髄症状は、首の痛みから始まり、やがて手足のしびれや麻痺などが出てきます。さらに脊髄への圧迫が強くなると、排泄障害が現れるようになります。脊髄症状は、長引くと回復が難しくなってしまうので、早めに気づいて治療を受けることが大切です。

治療法

頚椎の病気の治療法には、「保存療法」と「手術療法」があります。

神経根症状の治療の基本は、保存療法です。頚椎を安静にして、負担をかけない姿勢を心がけます。痛みやしびれが強い場合には、首を温めて血行を良くする「温熱療法」、痛みを抑える消炎鎮痛薬などを使う「薬物療法」、頚椎を引っ張る「牽引療法」などが行われます。

特に痛みが強い場合には、神経根の周辺に局所麻酔薬やステロイド注射をする「神経ブロック注射」が行われることもあります。

多くの場合は保存療法によって症状の改善がみられます。保存療法では改善されない場合や、本人の希望によって手術が検討されます。

脊髄症状があるときも、まずは保存療法をしていきます。しかし、進行するほどひどくなるため、患者さんが日常生活で苦痛を感じるときは手術も検討します。

手術

保存療法で満足な効果が得られない時には手術も検討していきます。脊髄には、圧迫されるともとに戻りにくいという性質があります。脊髄が圧迫されたまま長期間放置しておくと、手術をしても回復が見込めなくなることがあります。そのため、脊髄症状があるときには手術のタイミングも重要になってきます。医師とよく相談して決めましょう。

手術の方法には「椎弓形成術」「前方除圧固定術」「骨化摘出術」の3つがあります。原因となっている病気や、脊髄が圧迫されている範囲によって選択されます。

手術をして一番問題になるのは、手術後の症状がどれだけ残るかです。患者さんは手術をすれば首の痛みや腕のしびれはすべてなくなると思い、手術を決心する人もいます。しかし、実際には何割かの症状は残ってしまうことも多いものです。手術を受けるときには、手術後の症状についてもしっかりと話し合い、納得してから受けるようにしましょう。

脊柱靭帯骨化症について

脊柱靭帯骨化症は字のごとく、脊柱にある靭帯が骨になる病気です。脊柱を構成する「椎骨」は靭帯によってつながっています。この靭帯には、椎体ののど側の「前縦(ぜんじゅう)靭帯」、背中側の「後縦(こうじゅう)靭帯」、「椎弓」と椎弓を結ぶ「黄色(おうしょく)靭帯」の3種類があります。この3つの靭帯が骨や関節がバラバラに動かにようにつないでいます。

靭帯は本来1~2mmぐらいの薄い組織です。それが厚くなり、骨になってしまう病気を総称して、「脊柱靭帯骨化症」といいます。

後縦靭帯と黄色靭帯は、脊髄の前と後ろにあります。そのため、靭帯が骨化して厚くなると脊髄を圧迫して、さまざまな「脊髄症状」を引き起こします。特に多いのが、後縦靭帯に起きる「後縦靭帯骨化症」です。なお、前縦靭帯は椎骨の前側にあり、脊髄とは離れているので、骨化しても脊髄症状が現れることはありません。

原因がわからない

頚椎後縦靭帯骨化症は、日本人によくみられます。男性に多く、40歳代後半以降に脊髄症状がでることが多いようです。

現在、靭帯の骨化がなぜ起こるのかはわかっていません。遺伝的な要因も関係しているといわれています。また、患者さんの6~7割に、血糖値が高くなる「耐糖能異常」がみられるため、糖尿病との関係も考えられます。日本人には生まれつき「脊柱管」の狭い人が多いことも発症する人が多い要因の1つではないかと指摘されています。

脊柱靭帯骨化症の症状

主な症状と進行のしかた

靭帯が骨化するといっても、ある日当然骨にかわるわけではありません。骨化は少しずつ進んでいきます。そのため、骨化が起こっても初期には特に症状が出てきません。骨化した靭帯が厚くなって、脊髄が圧迫されると脊髄症状が現れます。

まず、最初は「首の痛み、手足のしびれ」などが起こります。脊髄がさらに圧迫されていくと、「手足の動きがぎこちない、歩きにくい」という症状が現れ、さらに進行すると排尿障害や便秘なども起こります。

脊髄症状のほかに「深呼吸しにくい」という症状も現れます。通常、息を吸ったときと吐いたときの胸囲の差は2~3㎝あるのですが、胸椎と肋骨をつないでいる靭帯の骨化が進むと1㎝以下になってしまいます。

突然重い症状がでることも

頚椎後縦靭帯骨化症は、骨化があっても症状がない人や、軽い人もいます。しかし、症状がなくとも靭帯の骨化が進んでいる場合には、転倒や外傷などが引き金になって、突然しびれや麻痺などが起こることがあります。このように、突然脊髄症状を発症するケースは珍しくなく、患者さんの約2割に起こるといわれています。

また、頚椎後縦靭帯骨化症がある人は、脊椎以外の靭帯も骨化することが少なくありません。特に肩や股関節の靭帯に起こることが多く、体の柔軟性がなくなって、関節の動きが悪くなります。すると、「あぐらをかけない、お尻に手が届かない」などの症状が現れて、痛みも伴うようになります。これらの症状を軽減するには、ストレッチングや適度な運動が役立ちます。

脊柱靭帯骨化症の治療法

保存療法

症状が軽い場合は保存療法をしていきます。保存療法では、頚椎の安静をはかるために「頚椎カラー」の装着や、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を使う「薬物療法」が行われます。また、症状が強い時にはステロイド薬を内服することもあります。
手術

保存療法をしても効果が出ない場合や、すでに脊髄症状がある場合には、早めに手術が検討されます。手術の方法は、「背中側から行うもの」と「のど側から行うもの」があります。骨化した靭帯の場所や形、並び方など、患者さんの状態によって手術法を選びます。

・背中側から行われる手術

最もよく行われるのが「椎弓形成術」です。狭くなった脊柱管を広げ、脊髄への圧迫を取り除きます。

・のど側から行われる手術

骨化の範囲が狭い場合や、骨化した靭帯が飛び出して椎弓形成術では脊髄の圧迫が取り除けない場合は、のど側から手術が行われます。「浮上術」と「骨化摘出術」が代表的な方法です。骨化摘出術は、脊髄を包む膜や脊髄を傷つけることがあるため、多くは浮上術が選択されます。

日常生活の注意

一度骨化してしまった靭帯は、残念ですが元に戻ることはありません。靭帯が骨化しても症状がないなら治療は必要ありません。しかし、ちょっとしたことがきっかけで突然発症することもあるので、日常生活では首を激しく動かさないように注意が必要です。特に、転倒や頭の打撲など、首に衝撃が加わるようなけがは危険ですので注意しましょう。

また、「カルシウムをとりすぎると病気が悪くなる」と思っている人もいますが、靭帯の骨化とカルシウムを摂取するのは関係ありません。カルシウムの摂取を控えて、骨粗しょう症などにならないようにしましょう。

そのほか、体が硬くならないようにストレッチングをするのも効果的です。

制度面では、頚椎後縦靭帯骨化症は「特定疾患」に認定されています。治療する際には医療費助成制度が適用されます。治療費の自己負担額の一部を公費負担してくれますのが、自治体によって違いがあるので一度問い合わせをしてみましょう。

首の痛みの手術法

前方除圧固定術

この手術は主に頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアの病巣が小さい場合に行われる方法です。

まず、ヘルニアなどが起きている椎間板のあたりを、のど側から数㎝切開します。そして手術器具を入れて、病巣のある椎骨や椎間板を切除します。切除した部分には患者さんの骨盤などから採った骨や人工骨を移植します。この手術によって脊髄を圧迫していたヘルニアがなくなるので、脊髄症状もよくなります。

この方法は、首の筋肉を大きく切らなくてもよいというメリットがあります。しかし、病巣の数が多いと、頚椎や椎間板をたくさん取ることになり、頚椎の強度に問題が起こります。また、骨がくっつくまでは「頚椎カラー」を2~3か月着ける必要があります。

椎弓形成術

この手術法は、脊髄が広く圧迫されている場合に行います。

椎弓形成術は、首の後方から切開して行われます。まず、椎弓についている筋肉を剥がして、棘突起を切り取ります。椎弓の片方を切断し、反対側の椎弓には溝を掘っておきます。また椎弓と切り取った棘突起にひもを通す孔をあけておきます。そして、切断した椎弓の間に切り取った棘突起の一部をはさみ、孔にひもを通して骨を固定します。この手術によって脊柱管を広げることができ、脊髄の圧迫が軽減されます。椎弓を切除するだけなので、頚椎の強度には支障はなく、入院期間も2週間程度で済みます。

しかし、椎弓形成術では一度椎弓についている筋肉を広範囲に剥がすことになります。そのため手術後に約6割の人が「肩こり」や「首を動かしにくい」といった症状を訴えます。これらの後遺症は徐々に取れていきますが、中には残ってしまう人もいます。

これを防ぐためにも、手術の際に筋肉をなるべく傷つけずに行う手術法も研究されています。例えば、棘突起を、筋肉を付けたまま左右に切り開き、椎弓の一部を切除して脊柱管を広げ、最後に棘突起を縫い合わせる縦割式(じゅうかつしき)椎弓形成術という手術法もあります。一度医師と相談してみましょう。

浮上術

後縦靭帯骨化症の際に、骨化の範囲が狭い場合や、骨化した靭帯が飛び出して、椎弓形成術では脊髄への圧迫が取り除けない場合に「浮上術」を行います。

まず、骨化した靭帯の手前にある椎体を摘出して、靭帯を薄く削ります。脊髄の周辺を満たす髄液の水圧によって、削った靭帯が椎体側に押し出されて圧迫が解消されます。最後に摘出した椎体のところに別の骨を移植して終了です。

骨化摘出術

浮上術と同じように、椎弓形成術では脊髄への圧迫が取れない場合に行います。

まず、骨化した靭帯の手前にある椎体をすべて摘出して、骨化した靭帯をすべて削り取ることで圧迫を取り除きます。最後に骨盤などの骨を移植します。

ただし骨化摘出術のほうは、脊髄を包む膜や脊髄を傷つけやすいため、多くは浮上術を行います。

どの治療法もそうですが、それぞれの患者さんの病気と、今の状態を考えて手術を選ぶ必要があります。その際、手術の方法だけでなく、治療期間や手術後の後遺症についてもしっかりと話し合って、患者さん自身が納得して受けることが大切です。

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