胃がん病気の症状集

胃がんの症状

  • ・初期症状なし

胃がん手術の後遺症

抗がん剤の副作用

  • ・ 吐き気
  • ・ 食欲不振
  • ・ だるさ
  • ・ 口内炎
  • ・ 下痢
  • ・ 皮膚や爪が黒くなる
  • ・ 味やにおいがわからなくなる
  • ・ 白血球数の低下

胃がん

胃は胃液を出す「粘膜」が最も内側にあり、その外側に「粘膜下層」、その次に胃を動かすための「筋層」、そして最も外側に「漿膜(しょうまく)」があります。

胃がんは最も内側の粘膜にできることが多く、進行していくと外側の筋層へ広がります。がんが粘膜・粘膜下層にとどまっている状態を「早期がん」といいます。

がんが進行すると、最も外側の漿膜を突き抜けて胃の外に広がります。また、近くのリンパ節や他の臓器に転移することもあります。この筋層よりも深く進んだ状態を「進行がん」といいます。

胃がんはかつて日本での部位別のがん死亡数で1位でしたが、胃がんの研究が進み、最近では死亡率がだんだん下がってきています。しかし、海外の国と比べるとまだ高い水準であるといえます。胃がんは「早期がん」のうちに発見し、少しでも早く治療を開始することで治る確率が上がるので、早く見つけることが大切です。

胃がんの進行度

胃がんを少しでも早く見つけるために、がんの進行度を「ステージ」という尺度で表します。

胃がんのステージは、順にⅠA・ⅠB・Ⅱ・ⅢA・ⅢB・Ⅳと表します。数字が大きいほど、またAよりBのほうが、がんが進行していることを表しています。この「ステージ」は胃がんの「深さ」と「転移」によって分けられます。

胃がんの深さ(T)

胃がんは粘膜から始まり、どんどん進んでいきます。がんがどの深さまで進んでいるかによって次のように分けられます。

・ T1…がんが胃の粘膜にとどまっている状態です。この段階を早期がんといいます。

・ T2…がんが胃の粘膜の外側の筋層まで達しているもの。まだ胃の表面には出ていない状態です。

・ T3…がんが胃の壁を突き破り、胃の表面に出ています。こうなるとがん細胞が胃の表面から他の臓器にこぼれ落ちて、がんが広がる可能性があり、治療が難しくなります。

・ T4…胃がんが最も進行した状態です。胃の表面に出たがんが、近くにある「大腸」や「すい臓」にも広がっています。

なお、胃がんの場合は大きさよりも深さのほうが重要です。がんが小さくても、胃の壁の奥深くまで達していれば進行していることになります。

胃がんの転移の有無や程度(N)

胃にできたがん細胞が、胃から離れた部位に”飛び火”してしまうことを「転移」といいます。

肝臓に転移することを「肝転移」、大腸や小腸など胃からおなかに種をまいたように転移するのを「腹膜播種性転移」といいます。

胃がんの転移で最も多いのが、がん細胞がリンパ管に侵入し、リンパ節で増殖する「リンパ節転移」です。胃の周囲のリンパ管を近い順に、第1~3群リンパ節と分け、転移の有無や程度によりN0~N3の4段階に分類します。

・ N0…リンパ節転移がまったくない状態です。

・ N1…胃に最も近い第1群リンパ節にがんが転移しています。

・ N2…胃から少し離れた第2群リンパ節に転移があります。

・ N3…胃から遠く離れた第3群リンパ節に転移しています。

転移のある臓器や、遠く離れたリンパ節への転移はすべて取り除くことができません。そのため他の臓器に広く転移していると、治る可能性が低くなります。

N0 N1 N2 N3
T1 ⅠA ⅠB
T2 ⅠB ⅢA
T3 ⅢA ⅢB
T4 ⅢA ⅢB
遠くに転移

検査法

胃がんの進行度を調べる検査は主に次の2つがあります。

内視鏡検査

先端にカメラなどがついた「内視鏡」によって、胃の粘膜の状態を直接みることができます。その際に、病巣や粘膜を切り取って顕微鏡で調べる「生検」も行います。この生検によってがんかどうかを正確に判定でき、がんの広がりもわかります。

画像検査

リンパ節などへの転移を調べるため、CTやエコーを使った検査を行います。肝臓への転移を調べるためにMRI検査をすることもあります。

ステージに応じた治療

胃がんの治療法は主に「内視鏡治療」「手術」「化学療法」の3つに分けられます。どの治療法を行うかは進行度によって決めていきます。

早期がんの場合

早期がんは治る可能性が高いので、体に負担の少ない「内視鏡治療」や、切除範囲を小さくして後遺症を減らす「縮小手術」が行われます。

進行がんの場合

進行がんは、転移があったり再発したりすることが多いため、できるだけ治せる可能性の高い治療法を選びます。胃がん手術のほか、周りの臓器も一緒にとる「拡大手術」も行われます。また、がんが広く転移して手術では難しい場合には、「抗がん剤」を使った化学療法が行われます。

これらの治療法の他にも、「緩和手術」をすることもあります。緩和手術とは治療を目的としたものではなく、患者さんの症状を和らげて生活の質を良くすることが目的です。

適切な治療法を選ぶためにも、自分の胃がんのステージを知り、どのような治療法が必要なのかを理解しておくことが大切です。

胃の早期がんと内視鏡治療

早期がんに適した治療法の一つに、「内視鏡治療」があります。内視鏡治療とは、「内視鏡」という先端にカメラなどがついた医療器具を口から胃の中に入れ、おなかを切ることなく、胃の内側からがんを切除できる治療法です。現在の胃がんの治療法のなかで体への負担が最も少ない治療法です。

内視鏡治療のいいところ

まず、一番のメリットは、おなかを切らずに治療ができる点です。他の治療法と比べて、患者さんの体への負担が非常に少なくすみます。治療では軽い麻酔をかけて行われるため、痛みも最小限ですみ、手術後の後遺症もほとんどありません。

また、内視鏡治療は入院期間も短くすみます。おなかを切る手術は手術後に10日~2週間の入院が必要ですが、内視鏡治療では5~7日間程度ですみ、入院費用も比較的安くなります。

これだけみると、おなかを切る開腹手術はせずに、胃がんはすべて内視鏡で治療すればいいと思ってしまいます。しかし、内視鏡治療にも長所のほかに短所もありますので、まずはどんな人なら内視鏡治療が受けられるのかみていきましょう。

内視鏡治療の適応

リンパ節への転移がない

内視鏡では、胃の中のがんしか切除できません。胃の外側にあるリンパ節への転移がある人には適しません。

粘膜にとどまっている

がんが胃の粘膜にとどまっている早期がんが対象です。

がんの大きさが2㎝以下

がんの大きさが2㎝より大きいと、転移している可能性が高く、内視鏡治療は適しません。しかし、患者さんの状態によっては2㎝を超えていても行う場合があります。(高齢者で開腹手術をする体力がない人の場合など)

分化型

がんは「分化型」と「未分化型」に分けられます。分化型の場合は比較的転移の可能性が低いので、内視鏡治療で取り除きます。

内視鏡治療が受けられないケース

上の4つの条件をクリアしても、内視鏡治療が受けられない場合があります。

例えば、がんの中に潰瘍や潰瘍が治ったあとがあると、切除するときに胃に孔が開く可能性が高いため、治療は受けられません。

そのほかにも、内視鏡では見えづらい位置にがんがある場合も適応にはなりません。このように内視鏡治療は早期がんの条件の整った場合でしか受けることができません。しかし、器具も手術法も日々進歩しているので、これからどんどん内視鏡での治療を受ける人は増えてくるでしょう。

内視鏡治療の種類

内視鏡的粘膜切除術

従来から行われている代表的な治療法です。まず、胃に内視鏡を入れてがんに色を付け、しるしをします。その際、切除しやすいように胃の粘膜の下に生理食塩水を入れがんの部分を盛り上げます。そして内視鏡で胃の粘膜の中心をつかんで持ち上げて、金属のわっかを根元に通し、電気を流してがんを焼き切ります。

がんの大きさによっては一度に焼き切れず、分割して切除することになりますが、この方法ではがんを取り残す可能性が高くなってしまいます。

内視鏡的粘膜下層剥離術

こちらは新しく開発された治療法で、電気メスを使ってがんのある部分の胃の粘膜をはぎ取ります。まずはがんの部分に色を付け印をします。そして粘膜の下に生理食塩水を入れ、がんを盛り上げます。この状態で印の外側を取り囲むようにして、電気メスで粘膜の下の組織ごとはがしていきます。

この治療法なら、金属のわっかを通せない大きさのがんでも切除でき、取り残しが大幅に減らせます。

治療後

内視鏡治療の後は、がんの取り残しがないかどうかを詳しく調べる必要があります。そのために行うのが病理検査です。

まず切除した組織を細かく切って標本にします。それを顕微鏡で丹念に観察し、切除した組織の端にがんがないかどうかを調べます。もし、組織の端にがんがあれば、取り残しがあることを意味します。

そのほかにもがんの大きさや深さが予想通りだったかどうか、がんが血管やリンパ管に及んでいないかも調べます。

取り残しがあった場合は、もう一度内視鏡治療をするか、手術をするかを決めていきます。

経過観察も大切です

取り残しがなくとも、いつまた新しいがんができるかわかりません。一度がんができた人は再びがんができる可能性が他の人より高いため、1年に1回内視鏡検査を受けることが大切です。

また、内視鏡治療でがんをとったところには潰瘍ができ、治るのに1か月かかります。手術後1か月間はお酒やコーヒーなどは控えるようにしましょう。そのほか、たばこはがんの発生を促進するため禁煙し、規則正しい生活をしていきましょう。

腹腔鏡手術とは

内視鏡治療は早期がんでも限られた条件の胃がんにしか適応ではありません。そこで内視鏡治療が行えない早期がんを対象にする治療法として、「腹腔鏡手術」があります。この腹腔鏡手術は内視鏡治療の次に体への負担が少ない治療法です。

腹腔鏡手術のメリット

同じ手術でも、おなかを大きく切って行う「開腹手術」に比べて、腹腔鏡手術には次のような長所があります。

傷が小さい

手術による傷が小さいため、痛みも比較的少なくなります。

体の回復が早い

手術後、早い時期から歩くことができ体力の回復も早くなります。

腸を傷つけない

開腹手術では腸にも手で触れるため、手術後に「腸閉塞」などが起こりやすくなります。腹腔鏡手術では小腸や大腸に触れることがないので腸を傷つけず、腸閉塞が起こりにくくなります。

腹腔鏡手術の方法

腹腔鏡手術ではまずおなかに1㎝ほどの孔を5~6か所開けます。その孔から腹腔鏡やメス、縫合器などの器具を入れ、胃とつながっているまわりの組織を胃から外します。5㎝ほどおなかを切り、そこから胃を引き出してがんのある部位やリンパ節などを切り取って腹部に戻し、胃と小腸をに合わせます。

手術はモニターに映し出されたおなかの中の様子を見ながら行います。胃のどこを切るといった手術の内容は、基本的には開腹手術と同じです。

腹腔鏡手術の問題点

手術の時に突然出血すると、開腹手術ではすぐに止血することができます。しかし、腹腔鏡手術では腹部の孔から器具を入れて操作しているのですぐに止血できないことがあります。

また開腹手術と比べ、腹腔鏡手術は難しい手術のため、時間がかかってしまいます。胃の縫合をするのも難しく、縫合した部分の胃の内部が狭くなる合併症も起こりやすくなります。

切り取る胃の大きさは同じ

先ほども少し出てきましたが、基本的に腹腔鏡手術と開腹手術のどちらをしても、切除する胃の大きさは同じです。これは胃をどのくらい切るかはがんの進行度によって決まるためです。がんの転移の可能性も考えて、がんのまわりの組織も含めて切除します。胃を切り取る範囲は主に次の2種類があります。

幽門側胃切除術

胃がんのよく起こるところに、胃の出口の「幽門」があります。この場合は幽門側の胃を2/3程度切除します。このとき胃のまわりのリンパ節もとってしまいます。残った1/3の胃と十二指腸をつなぎ合わせて胃を再建します。

胃全摘術

一方、がんが胃全体に広がっていたり、胃の入り口(噴門)のあたりにある場合は、胃をすべてとってしまいます。その後小腸を持ち上げてきて食道とつなぎ合わせます。

手術後の後遺症

腹腔鏡手術の後は腸閉塞になりにくいという利点があります。しかし、胃を切り取ることによる後遺症は、腹腔鏡手術でも開腹手術でも同じように起こる可能性があります。

ダンピング症候群

通常はものを食べると胃の中にとどまって、少しずつ小腸に送られます。しかし、幽門を切除すると食べたものが一度に小腸に流れ込んでしまうため、食事の直後や約2~3時間後に「動悸・吐き気・冷や汗・めまい・脱力感」などが現れる「ダンピング症候群」が起こります。

貧血・骨粗しょう症

胃の中にはカルシウムや鉄分の吸収を助ける物質が存在します。広い範囲で胃を切除すると、その物質が減ってしまい吸収しにくくなり、「貧血」や「骨粗しょう症」が起こります。

逆流性食道炎

胃の入り口を切除すると、酸性の消化液が食道に逆流してしまい胸やけなどが生じる「逆流性食道炎」を起こすことがあります。

後遺症の対策

後遺症を少なくするための治療法に「縮小手術」があります。この縮小手術というのは従来の手術法よりも胃やリンパ節の切除範囲をなるべく小さくしたもので、胃の消化機能に与える影響を少なくすることができます。

縮小手術は主にリンパ節転移の可能性が少ない早期がんが対象です。幽門を残すことでダンピング症候群を防ぐことができますし、胆のうや大腸につながる神経を残すと手術後の下痢や胆石が起こりにくくなります。縮小手術も腹腔鏡を使って行うことができます。

一口に手術といってもさまざまな種類があり、その後の生活にも関係してきますので、しっかりと話し合って治療法を決めていくことが大切です。

胃がんに対して効き目の上がった抗がん剤

抗がん剤とは、がん細胞に直接作用する薬を使った治療法です。がん細胞の増殖を抑えるなどして、がんの進行を防ぎます。この抗がん剤を使った治療を化学療法といいます。

以前は胃がんに大きな効果のある抗がん剤はないとされてきました。しかし、最近は胃がんによく効く抗がん剤が登場し、それによって抗がん剤を使った新しい治療法が進んでいます。このように、胃がんにおける「化学療法」は大きく進歩しています。

抗がん剤の目的

化学療法の目的は主に2つあります。1つは手術ができないほど進んだ胃がんや再発した胃がんの症状を和らげたり、延命を図ることです。もう1つは手術の前後に使うことによって、手術の効果を高めたり再発を予防することです。

このように抗がん剤は胃がんを完全に治せるというわけではありません。化学療法の効果はがんが治るかどうかではなく、がんが小さくなるかどうかで判断します。「がんの大きさが治療前の半分以下になり、その状態が1か月以上続いた」場合、抗がん剤は効果があったと判定します。これを「奏効」といいます。

抗がん剤は副作用を診ながら、投与と休薬を繰り返して使い続けることが基本になります。化学療法には体力が必要ですので、重い副作用が出た場合は薬の使用を一度やめて、体力が回復するのを待ちます。

抗がん剤の治療

最近よくつかわれる抗がん剤で「TS-1」というものが胃がんに対して高い効果を上げています。従来の抗がん剤では奏効率が20%以下だったのに比べ、TS-1は約50%と2倍以上にもなっています。

そのほか、従来の抗がん剤は注射や点滴で投与していたので入院しなければいけませんでした。しかし、TS-1はカプセル状の飲み薬なので、日常生活を送りながら治療を受けることができます。しかし、従来の抗がん剤ほどではないですが、副作用も存在します。

TS-1の副作用

・ 吐き気

・ 食欲不振

・ だるさ

・ 口内炎

・ 下痢

・ 皮膚や爪が黒くなる

・ 味やにおいがわからなくなる

・ 白血球数の低下

・ 貧血など

抗がん剤を組み合わせる併用療法

TS-1は、単独で使っても効果が高いですが、他の抗がん剤を組み合わせることによってさらに治療成績を上げる「併用療法」があります。

併用療法で使う抗がん剤はTS-1と副作用が重ならないものを使います。「シスプラチン、イリノテカン、ドセタキセル、パクリタキセル」などがあり、これらのうち1種類を選んで併用します。よく使われるのはシスプラチンで、これは点滴で投与するため3日間入院します。

併用療法は、TS-1単独では効かない人にも効果がみられます。シスプラチンを併用すると奏効率が76%に上がったというデータもあります。

抗がん剤の使い方

以前は毎日抗がん剤を使用して、体力の低下や副作用のために治療を中止しなければならないこともありました。しかし、TS-1では「4週間服用後、2週間休薬する」のを1年間繰り返して使います。この「休薬期間」によって体力を回復させることができ、治療を長期間続けやすくなっています。

また、抗がん剤の副作用である「吐き気」や「白血球数の低下」を抑える薬も開発されています。これにより副作用が軽減できて、抗がん剤の量を増やすことができ、治療の効果を高めることも可能になりました。

胃がんの補助化学療法

再発の危険性があったり、手術だけでは治りにくい進行がんに対して、手術の前後に抗がん剤を使う「補助化学療法」が増えてきています。

手術後に使う場合

手術でがんをすべて切除しても、肉眼では見えないがんが体の中に残っていることがあります。このような再発の危険性のある進行がんに対して、再発予防のために補助化学療法を行います。この場合はTS-1を単独で使います。再発は手術後1年~1年半後までに起こりやすいので、抗がん剤は1年間を目安に使います。手術後3年たった時点での生存率が、服用しない人が70%に対し、服用することで80%まで上がることがわかっています。

手術前に行う場合

手術前の補助化学療法は、がんが非常に大きい場合、遠いリンパ節に転移があったり近くのリンパ節に多く転移している場合、手術をしても再発する危険性が非常に高い場合に行われます。抗がん剤を使うことによって、転移の範囲を減らしたり、がんを小さくして手術の効果を高めたりします。

手術前の補助化学療法では、TS-1とほかの抗がん剤を併用して使います。よくあるのは、TS-1を3週間服用して、服用開始から8日目だけシスプラチンの点滴を1回します。その後2週間ほど期間を開けてから手術をします。この方法で55%の患者さんが、手術前に胃がんを小さくすることができます。

補助化学療法は、手術前と手術後に合わせて行うことで、さらに効果を高めることが期待でき、今後さらに増えていくと思います。

そのほかにも、大腸がんで効果が認められている抗体を使った薬や、「分子標的薬」など、新しい抗がん剤も次々と出てきています。

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